心の旅のお作法

妙齢からの、己を知る道、心のお散歩(笑)

「寂しさ」に向き合ってます。

f:id:spica-suzuhazu:20200218152601j:plain ご無沙汰でございます。
やはり、昨年末より溜め込んだ疲労は、ジワジワとあたくしの神経を少しずつ削り取り、なす術もなく、あたくしは少しずつ弱っていった。
少し前から不眠を訴えて、一番軽い導眠剤を服薬していたのだけど、それでは間に合わなくなってしまった。
2時間おきに目覚めるようになり、早朝にも目覚めるようになった。

危機感や焦燥感を感じるようになったと訴えると、優しき主治医は、短時間用と中くらいの時間用の2種類の導眠剤を、「量は自分で調整しながら飲んで」と選んでくれた。
それは、あたくしにとって断薬するのが一番困難だったのが導眠剤と知っている主治医ならではの処方だと思う。
今、倒れるのは困る。
担当のあの子、「逆転移の彼」がいるから。


そんな風に、現在のあたくしにとって気になるのは、自分のことじゃないかったりする。
自分のことを後回しにしていたからこんな事態になったようにも思えるのだけれど、その思考回路はなかなか変えられない。

2年前の秋の終わり頃、あたくしのカウンセリングにおいて、今思ってもとても大切な局面が訪れた。
それは「自分の弱さを受け入れる」ことが出来た日のこと。
こんな書き方をすると、なんだか安らかで穏やかだけれど、実は決してそうではなく、ジリジリと事の本質から逃げ回るあたくしに業を煮やしたカウンセラーの先生は、あたくしの首根っこを“むんず”と押さえつけて、「あたくしは弱いです」そうして「あたくしは弱さを愛します」と言わせたのだ。
それは甘美で心地よく、開放感を伴う屈服で、あたくしはさめざめと泣き、安堵に包まれたのだった。


あれからの自分は、少し強くなれた。
なぜなら、事前に「自分は弱いです」と宣言できるようになったから。
自分の弱さへの恥ずかしさが軽減しただけで、その「自分の弱さを取り繕うこと」にメモリーを使わずに済む様になり、それからあたくしは、少しだけしなやかになれたように思う。
自分の弱さを受け入れられたことで、あれから何度、精神的な危機を乗り越えられたろう?


現在の克服すべきテーマは「寂しさ」だ。
この、そこはかとない「寂しさ」のために、これまで自分は取り返しのつかない大きな過ちを何度もしてきたし、今だって懲りもせずに格闘し、疲労と脱力感でクタクタに成り果てている。


不幸中の幸いは! 「逆転移の彼」が、あたくしのこの暑苦しい感情に巻き込まれることなく、しかも信頼関係を損なうことなく、絶妙な距離感を保ちながら成長してくれていることだ。
これは自分の技量ではなく、彼の天性のバランス感覚と器量の良いところによる、と思う。
今、あたくしの体裁を保っているのは、彼の聡明さによるものなのだ。


しかし、これは自分でも流石に「まずいな」と思っている。
何しろあたくしの仕事は、彼を人生の次のステージに立たせることなのだ。
本当に近々、あたくしと彼は別れを迎えるだろう。
これは運命である。


あたくしにはこの別れを乗り越えるタスクが待ち構えている。
今のあたくしにとって、彼の存在は本当に邪魔っけで、そして恐ろしい。
彼の成長にとっても、今や自分は足手まといに過ぎないだろう。
あたくしは今度こそ自分の「寂しさ」に対峙して克服したい。


2年前のいつかのように、爽やかな涙に濡れながら、今度は自分の底なしの「寂しさ」から卒業したい。
その時のあたくしは、「弱さ」を克服した時の様に、大泣きして、何か温かいものに包まれて、今の自分よりもっと自身の「寂しさ」とともに居れるようになるのだろうか?
ジタバタと悪あがきをしたりして、ドツボにハマらない人になれるのだろうか?


職場の移動からホッとする間もないうちに、上級職への研修の予定が入ったのだ。
これは、この先、自分がもっと未知の世界に行く予告であるので、正直オロオロしている。
今度は彼がどんなステージであろうとも、連れては行けないだろう。
もう、人さらいはできない(笑)。
あの一連の緊張感を振り返ると、もう二度とあんなことはするまい、と思うけれど。


逆転移の彼」が、最近は、本当に自分に率直に気持ちを打ち明けてくれるようになった。
最初の、世間を疑いまくっている野良猫の様な荒んだ瞳はなりを潜め、穏やかで、少しはにかんだ表情で、時に真剣に、あたくしが聞きたかった真実を、その時、本当の彼はどんな気持ちだったのかを、彼はそっと話してくれる。


こんな風に自分の過去や現在の心境を飾ることなく言えるようになった彼は、きっとこの先も上手くやっていけると思う。
こうやって話す時間が、機会が、これまでの呪いの魔法を解いて、彼を自由にしてくれることを切に願う。
この先ずっと彼が、ふと引きずり込まれるような得も言えぬ恐怖に襲われ、夜更けに眠れなくなることがない様に。


あぁ、いや、問題は自分の「寂しさ」の件だ。
そういう訳で、現在の自分のミッションは「寂しさ」の克服だ。
また、カウンセラーの先生に泣かされるのかもしれないし、今度はもっと上手く乗り越えられるかもしれない。
でも、いずれにしても「逆転移の彼」との別れは、大きく関わってくるだろう。
近しい人は皆あたくしのこの先を心配してくれている。
「この先に訪れるであろう、あなたのロスの衝撃が心配よ?」
その通り! あたくしも不安でたまらない!


また絵でも描き始めようと思っている。
春からは、国家資格の勉強も本格化させようと思っている。
実は、寂しさのあまり、猫でも飼おうかとかも思っている。
これは本質的な解決にはならないのだろうけど、それくらい切羽詰っている。


一つ言えるのは、今もあたくしは七転八倒しながら、何とかやり過ごせていることだ。
ありがたや。


ありがとう、先生。
ありがとう、「逆転移の彼」。
そうして、ありがとう、この文章を読んでくださっているあなた。