心の旅のお作法

妙齢からの、己を知る道、心のお散歩(笑)

ミッション:嘘や適当を言わない。

f:id:spica-suzuhazu:20171107155132j:plain

前回の続きみたいなものです。
 
カウンセラーと信頼関係が結べたら、カウンセリングの時間は単なる「思ったことは何でも話しても良い時間」から、ちょっと昇格した。
お互いに「常に正直であること」が求められる、ちょっと上等な空間になったのだ。
話したくないことは話さなくても良いから、嘘をついてはイカンのである。
腑に落ちてないことを「こんなもんだろう」と適当言うのも好ましくない。
 
自分の気持ちが分からない時は、ちゃんと「分かりません」と言うのが模範的回答だ。
 
「分からない」のか「今は言いたくないの」かは、いつも確認される。
本当は言いたくないことを「分からない」と誤魔化すのはよろしくない。
ちゃんと「今は心の準備ができてないので、言いたくない」と言えた方がいい。
 
カウンセリングでは、その時の自分がどう思ったのかについて本当に良く聞かれる。
その時の気持ちが分からなかったり言いたくないのには、ちゃんと理由がある。
そこが自己洞察のツッコミ所なんだけど、あたくしのカウンセリングでは、追求されたり、暴かれたり、本音を急かされたり、まして先生の推理を聞かされることもない。
「あ、そう」てな感じで、話はサラサラ流れる。
 
 
 
…みたいなのは、これまで何度も面接を重ねた結果、あたくしが失敗を繰り返して理解したことだ。
信頼関係さえ出来れば、もちろん最初から何でも上手に本当のことを話せる訳ではないのね。
どんな人にでも、咄嗟に嘘をついたり適当を言ったりはある訳で、それは身を守るのに必要な長年の習慣や癖だったりするのね。
自分を守っていた鎧を簡単に脱ぐことが出来ないのはいたしかたないんである。分かっていて努力する訳です。
 
それでですねぇ。適当なことを言ってしまった時はどうなるかといいますと…。
 
自分のカウンセラーの先生は適当にご歓談されているように見えても、絶対に違います。
本当のことなら何を言っても受容されるけど、嘘や適当には容赦ないんです!(笑)
その豹変ぶりたるや…
 
「本当にそう思ってるわけ?」
「ねえ、ねえ、本気でそう思ってるの? 自分の考えなの?」
絶対に許してはくれない。
 
「……違うでしょう? それ」
間髪入れず否定されることもある。
 
その時の先生は、きっと怒ってます! 
おっかない顔で脅されているわけじゃないから、怒るという表現は適当ではないのだけど。
目がチベットスナギツネみたいになって「ぼくとの信頼関係は?」と言っている。
「この時間を茶番にするな」と迫っている。
 
「はぁ〜参ったな、あはは」とか「流石は先生」なんて誤魔化してるけど、しかし、内心は平謝りだ。
すみません! そう言っとけばいいかなって思って、適当言ったのです。
考えないで、他所の人から言われたことをそのまま言っただけなのです。
 
そうして、結局は自分の本音に向き合わなくてはいけなくなる。
カウンセリングは何しろ本当に思ったことだけを言う時間なのである。
 
 
 
先生のチベットスナギツネが怖いので、今の先生には何でも言うようにしている(←ちょっと嘘 笑)。
「先週のあの言い方、家に帰ってから腹が立ちました」と前回の面接を蒸し返したり、「あのね、これだけは分かってもらいたいのですけど」と要求したりする。
臆病なあたくしがどれだけ自分をさらけ出しても、最悪の事態に(例えば、力で屈服させられる、信頼関係が壊れる、面接中止になる等)ならないと安心できている空間だから言えるのだ。
 
そうして、先生はそれらを本当に面白そうに聞いている。面白そうに、がポイントなんだろうな。
実際に面白いんだろう。こんな自分の様子は、面白いのだろう。
事件後、思ったことが喉に詰まって言えなくなったことが「あたくしの問題」だったのだから、自分もそれはとても楽しい。
「これだけは分かってもらいたい」と相手に求められる自分が嬉しい。
 
常に本当のことを言うのはクライアントにとって勇気と努力が要ることだけれども、それを受け止める側のカウンセラーだって、プロとはいえご苦労様だ。
あたくしは何度か、自分で話していて具合が悪くなるような過去の話をしたことがあって、後で「先生は大丈夫なのかしら?」と不安になったことがある。
トラウマ関連の本を読んでいて知ったことだけど「自分の汚らしい話が先生を汚すような気がする」と、考えてしまうクライエントは、結構いるらしい。
 
だけど、先生はスーパーでタフなカウンセラーを演じることなく「ダメな時はダメと言うから」と、とても現実的な方法を提示してあたくしを安心させた。
そうして、こっちが話していてダメそうな時も「話したくなかったら話さなくてもいいですよ」とストップかけてくれる。
先生から見たら一目瞭然みたいだけど、未だに自分が話しながらどう感じているか推し量るのが下手くそだ。
 
「ああそうだ、ここは話したいことだけお話しする場だったんだ」とあたくしは約束を思い出す。