私は耐えられる。
カウンセリングお休みしたいと告げた後、自分の暮らしには様々な移ろいがあった。
しかし、まず、お盆明けに次のカウンセリングの予定を入れさせていただいた。
それから、仕事面では、またも異動の打診があった。
そういう訳で、今回は異動は受けずに、考えずに、葛藤せずに、職場を去ろうと覚悟した。
そうして、自分らしく働けるところを探し、見つけようと思った。
見つかったなら、熱くアプローチして、そこで働こうと思った。
では、逆転移の彼は、どうなるだろう?
それは、分からない。
彼には、色々と話したいことがまだまだあるのだけれど、
一つだけ、とするならば
「大丈夫だよ、君は」
と、いうことだ。
実は、この危機に瀕して…こんな話の前に自分は少し不眠気味になっていて、お薬の力を借りないと朝まで熟睡できないのだけれども、こんな事態になっても、自分の脳裏には、頼りになる精神科の先生もカウンセラーの顔も浮かんでこないのだった。
ただ、これまで一緒に頑張ってきた先輩、同僚、それからあたくしを信じて色々と話してくれた相談者の顔が浮かぶばかりなのだ。
そうして、一番思い浮かぶのは、やはり逆転移の彼の子供の様な無邪気な笑顔なのだ。
だから、大丈夫なのだと、あたくしは思った。
あたくしは以前の、孤独で、親や夫を恨んで、愛を貪りたいと思っていた人ではないのだ、と自覚できている。
自分は今、充分満たされているのだと、思った。
自分の願いは叶っているのだと思った。
自分が思っていた形ではなかったけれど、それ以上に素晴らしく叶っているのだと悟ったのだ。
逆転移の彼は悲しむのだろう。
自分は今、泣いているのだけれど、
それは自分のことではなく、彼の未来を憂いていて
その自分は、また何だかとてつもなく解放されていて、幸せなのだ。
それを、彼に正直に伝えたいと思う。
意外に彼はへいちゃらかもしれないし。
それはそれで、願ったり叶ったりなのだった。
自分よりも大切な存在があることを「依存」という言葉で片付ける人がいたとしたも、それはどうでもいい。
今の自分は幸せなのだ。
私は耐えられる。
あなたもきっと耐えられる。分かるな?