心の旅のお作法

妙齢からの、己を知る道、心のお散歩(笑)

自分を愛してるかい?

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先日、個人的にちょっとショックな出来事があった。
 
その日は、月末に発生する大量の事務仕事を片付けなくてはと、スタッフ一同てんてこ舞いの日。
そこに、「あのぅ…」と一人の通所者が、あたくしの前に座っているスタッフに近づいていった…
…のだが、そこで、
「あ、○○さんは忙しそうだから、葉月さんに聞こうっと♪」と呟き、こっちに進路変更したのだった。
 
ーあたくしだって、忙しいよ‼︎ー
しかし、これは心の中の叫びであって、あたくしは笑顔でその方に対応させていただいた。
 
平素、ここに来ている方々には、どんなにスタッフが忙しそうであっても、声を掛けるように促している。
「質問が出来ない」「質問するタイミングが分からない」という人が多いので、質問すること、その際に伝わりやすい言葉選びをするのも、この場で行う練習の一つなのだ。
そういう訳でもあるし、個人的にはそういった対応は全然苦にはならない。
 
ならないのだが…ショックだったのは、同僚の○○さんには出ていた
“忙しいから話しかけるな”オーラが、自分からは全く出ていなかったことだ。
 
そのようなオーラはどのようにしたら出せるようになるのか?
そして可能であれば、自分でそのオーラのON・OFFが出来るようになりたい!(笑)
 
                                                   
 
前回のあたくしは、カウンセリングで「愛情に飢えている自分」「愛する対象を求めている自分」そうして「誰かに愛されたい自分」そんな煩悩まみれの心についての話をした。
今回のカウンセリングは、何となくその話の続きへと緩やかに流れていった。
 
現在の先生のカウンセリングを受けるまで、自分の中の「人を愛する気持ち」や「人の愛情を求める気持ち」は枯渇してしまっていたと思い込んでいた。
今の先生が「何らかの技術」(それが何なのか今も分からない!)を使って気付かせてくれるまで、あたくしは、自分の中に無限の愛情があることを忘れていたのだ。
 
だけれども今、あたくしはその大切な気持ちを持て余している。
 
そう告白すると、「あなた、自分のこと愛してる?」とカウンセラーの先生が問うてきた。
う〜ん…不覚にも自分にとってそれは、これまで意識したこともない質問だった。
 
「愛してないっていうと、先生怒りますよね?」
恐る恐る聞くと、
「そうだね、怒るね」
先生は、本当にちょっと怖い顔…子供を叱り付ける時の「メッ!」という表情をして見せた。
 
「じゃあさ、質問を変えよう。あなたはどんな時に癒されるの?」
「人の温もりを感じた時かなぁ?…ハグとか、手をつなぐとか…」
「いやいや、そういうんじゃなくってさ」と、先生はあたくしの言葉を遮り、質問を変えた。
 
「自分で自分を癒す時は何をするの?」
え、え〜?
残念ながらあたくしは、この問いにもまともな返事ができなかった。
 
「すみません、分かりません」「難しいです」「考えたこともありません」
自分の口から出てくるのは、そんな言葉ばかり(笑)。
終いにあたくしは沈黙してしまった…。
 
「人によっては、お風呂にゆっくり入っている時、とか言うけど?」
先生が助け舟を出す。
「いえ、自分の場合、お風呂はまるで“洗車”みたいなもんで、癒しなんかじゃないんです」
恥ずかしい話だが本当だ。
自分は、人に嫌われない為に身繕いしているのだ。
それは自分への愛情ではない。
 
自分を遊ばせていると思う瞬間はある。
お風呂で自分の体に浮力を感じるのを楽しんだり、バランスボールに乗って身体を揺らす時、ボルダリングで壁にへばりついている時…そんな風に自分の身体をおもちゃにして遊んでいる時は、たくさん思い出せる。
 
でも、自分に対して愛情を注いだり、癒したりする行為が具体的に思い浮かばない。
「美味しいものを食べている時かなぁ?」
やっと、ひねり出す。
「そうだね、それもその“一つ”だよね」
先生は、もっと考えろ、もっと考えろと、ニコニコしながら無言のオーラを発して来た。
 
 
 
今までに思いもしなかった自分の欠点を見つけることは、時には辛いことだけど、それは良いことだと思う。
そうして、少しずつ洗練させていくのは、素敵なことだと思う。
その為に、カウンセリングに通っているんだもの。
 
“忙しいから話しかけるな”オーラが出なかったその日、いろんな人の質問や頼みごとを聞き、電話を取っている内に1日は過ぎ、結局のところかなりの残業になってしまった。
帰ると、深夜のNHKでは延々と森の小動物を映していた。
働きすぎて脳みそが痺れているのを感じながら、あたくしはその画像に釘付けになった。

遊び、食べて、休み、毛づくろいをし、寄り添いあって温め合う…そんな彼らの仕草を見ていると、人間とはなんと本能とか自然から離れてしまった生き物なんだろう…。

あたくしは、まだ、自分自身を愛する事すら出来ないのだ。
 
「“忙しいから話しかけるな”オーラってのはさぁ、自分を愛せるようになったら、自然に出るもんなんだよね」
と、先生はカウンセリングの最後におっしゃった。
なるほど、そういう訳ね。
 
ミッションは続くのであった。