心の旅のお作法

妙齢からの、己を知る道、心のお散歩(笑)

先生はいつ気付いたんだろう?

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あたくしがカウンセリングを受けるにあたって執着したのは、10年前の事件の被害体験である。
自分は、その時間の体験を処理すれば、再び元気になって以前の“わたし”に戻れるのだと思い込んでいた。
ん〜そうじゃないな、と気付いたのは極く最近のことだ。
だって、事件の記憶に触れないままに、事件のことは平気になってしまったのだもの。
それなのに、予期不安は、消えないのだもの。
 
事件に関しては、今は、静かで正当と思える怒りだけが残り、あれだけ苦しめた恥や後ろめたい気持ちは、薄っすらと傷跡のように残るのみとなった。
 
カウンセリングの練習は、最初はひたすら相手の話に集中して共感のサインを出しまくるだけで及第点がいただけるが、次第にそれプラスαを求められる。
クライエントが訴えていることを真摯に聞くと同時に、未だ言葉に表現されていない真意を読み取りなさい、と指導される。
とはいえ、本当に問題とするところに本人も気が付いてないことが往々にしてあるのだ。
 
自分の場合で言うと、
主訴…ストーカー事件のトラウマから来る、制御できない恐怖心と怒りを低減させたい
問題…イザという時に守ってもらえなかった孤独感、恐怖心、怒りを解決したい
となるのだろう。
 
 
カウンセリングを進めるうちに、ストーカー事件への執着はどんどん消えていった。
許したというのとは違う。虚しいので考えたくもない、というのが近いのかな?
それよりも、何で助けてくれなかったんだ! という親への怒りが煮えたぎるようになった。
しかし、その親はどこにもいない理想の親であり、それすら正確な理由ではないのだろうな。
 
トラウマ本をそれこそ何冊も読んだのだけれど、ある本に書いてあったのは…トラウマの本質は、本人には分からないそうだ。それゆえにトラウマなんだそうだ。
 
この自分の漠然とした不安、失敗したら取り返しが付かない、だから完璧を目指さなきゃ、だって誰も助けてくれなのだから…頭では現実にそぐわないと分かっている、きっと今なら助けてくれる人がいるだろうと知っている…だけど、そうした悲観的な考えを払拭できないのには、何か理由があるんだろう。
そうして、何がこんなに自分をこじらかせたのか、具体的な理由などは分からないのだ。
きっと、この先もそれが何のせいなのか分からないんだろう。
 
 
 
ここ最近、ずうっと愛着関係の本を読んでいる。
学生時代に心理学を学んでいた時は、このトピックは大嫌いだった。
「育児が下手な親に育てられた子供は、取り返しの付かないことになる」と書いてあるようで、怖かった。
 
ところが、どの分野においてもこの30年で飛躍的に進化したけれど、心理学においても随分研究が進んだ。
素晴らしき、脳の可塑性の解明である。
親から理想的な愛着を得られなくても、親戚、年上の兄弟、教師、上司、恋人、伴侶がその役割をして愛着を育ててくれると。はたまた、自分の子供が欠けたものを埋めてくれると。
そうして、自分のようにイマイチそういうのに恵まれなかった場合も、心理療法リカバリーできると。
 
これは、自分にとってはちょっとした希望なのだ。
どうやら、少し時間は掛かるようなのだけれど。
 
 
 
実は、来週から、働き始めるのだ。
2年振りの通勤電車で、とても緊張しているらしい。
自分のことなのに、“らしい”というのも変だけれども、あたくしは自分の気持ちに対して鈍いところがあり、そうとしか言えない。
ただ、具合が悪いから、ソワソワしているから、緊張しているんだろうな、と予測しているのだ。
 
カウンセリングを受ける際には、最初に到達したい目標を立てたりすると思うのだけれど、自分の場合のそれは「トラウマの恐怖を解消して、再び働けるようになりたい」だった。
お陰様で、予定より数ヶ月余分に掛かったけれども、電車に乗っても「バッタリ犯人に遭うんじゃないか」といった恐怖心も無くなったし、働き出して続けられなかったら打ちのめされるからいっそ引き籠っていたい…という変な思考も無くなった。
 
クリニックの先生もカウンセラーも「もし、すぐに辞めることになっても、あなたの価値とは何の関係もないんだよ」と言ってくれている。
そうして、その通りにすぐに辞めることになっちゃったとしても、多分…大丈夫と今は思えてる(笑)。
 
だって、おんもに出るの楽しいじゃん?
仮に怒るにしたって、今までと全く違うことで怒るんだろう。
未体験ゾーンの喜びも見出せるかもしれない。
緊張しているけれど、期待していることもあるのですよ。
 
それにしても、カウンセラーの先生は、いつ自分の真の問題がストーカー事件じゃないって気が付いたんだろうか。
「失敗しても安全な場所があることを知っていれば、大抵のことは乗り越えられるんだよ?」って、どうやってあたくしに教えられたんでしょう?
そんな未来の話には、一言も触れていなかったのにね。
 

 

Essential HIDEKI-30th Anniversary 30 Songs-

Essential HIDEKI-30th Anniversary 30 Songs-

 
※本題には関係ないのだけれど、今日は西城秀樹の訃報で、ヒデキ三昧な1日になっているのです。
『ブルースカイブルー』のラストの“青空よ心を伝えてよ、悲しみは余りにも大きい”
の部分は、涙腺全開なんである。
ありがとうヒデキ。小学生の頃から大好き。
 
ベスト盤は三枚も持っていて、かなりご執心なのであります。
その中でもよくまとまっていると思える一枚。