心の旅のお作法

妙齢からの、己を知る道、心のお散歩(笑)

幻惑について。

f:id:spica-suzuhazu:20171028220827j:plain

普段、不思議体験には無縁な暮らしをしているけれど、昨年10日間の瞑想合宿に行った際、幻覚を見たことがある。
1日目にして、目をつぶっているのに辺りが明るくなり、目の前の丁度50センチくらいの場所に壁を発見した。
壁には細やかな花柄が規則的に並んでおり、「おや、この壁には見覚えがある」と思った。
それは、実家のトイレの壁だった。
なぜ、そこが再現されたのかは分からない。多分深い意味なんてないんでしょう。
 
その後は、様々な人の顔(しかし実在の人ではない)の形になる不思議な雲や、どこまでも続くコンクリート壁などが出現した。
特に、コンクリート壁はの幻覚は様々なパターンで出現し、安藤忠雄磯崎新の作品を思い出した。
目を閉じたまま視線を移動させて、そのコンクリート壁を追うと、緩やかにどこまでも続いているのだった。
その時は、自分の頭、すごいやと思った。なんの役にも立たないけど(笑)。
 
自分は座って目をつぶっているだけで、これは現実ではないのは理解している。
でも、なんてリアルに作り込んでいるんだろう! と、ただただ関心するばかり。
幻覚だというのは分かってるけど、現実にソックリだ、面白いなあ〜という感覚だ。
そうして、残りの毎日、どれだけ面白いものが見れるのだろう、と思っていたら、「見る」幻覚は初日だけで終わった。
 
7、8日目に、一回だけ、今度は体感の幻覚が起こった。
ツムジから7分立ての生クリームみたいなものがフクフクと湧き出でて、顔を覆い、顎から垂れそうになる。
「おっとっと」と自分はクリームが垂れないように思わず顎を上げる。
偽物の感覚とは分かっているけど本当によく出来ていて、関心した。
その日の夜、瞑想の先生に「あれは何でしょうか?」と聞くと「無視しなさい」と懸命なアドバイスいただいた。
 
 
 
社会心理学のトピックスに、感覚遮断テストというのがある。
学生時代に学んだ。真っ暗な水槽タンクの中に被験者を入れておくと、そのうちに自分の体の形の認識も変わるし、幻覚も見るそうだ。
当時は、面白いけれども非人道的な実験方法として学んだような気がする。
(それ以外にも社会心理学の実験には今ではあり得ないような非人道的なものが多い)
ウィキペディアによると、洗脳に関する研究の一分野から発展したらしい。
なるほどね。
 
その実験装置はアイソレーション・タンクというのだけれど、今ではお金さえ払えば誰でも体験することができると最近知った。
幻覚が見れる面白装置としてではなく、リラクゼーション効果…深いリラックス感や手軽な瞑想状態を得るために利用されてるようだ。
学生当時、あの非人道な実験装置に入ってみたかったあたくしとしては、どんな体験ができるのか、心から興味本位でその中に潜り込んでみたい。
でも、結構お高いんです、それ。
 
 
 
幻惑が現実と区別がつかなくなったら、それすなわち“ほとんど”現実だ。
しかし、あたくしは、まだそれが、錯覚で、偽物で、幻惑だと知っている。
できるだけ客観的に眺めようとする。
まったくよくできてるなあ、この恋心、まるで本物みたいと、しげしげと眺める。
陽性転移は、偽物だと分かっているけど突っつかずにはいられない食品サンプルみたいだ。
 
あまりにそっくりで、胸が熱くなる。
偽物でもいいや、口に入れてしまおうか、くらいに思う。
だけど知っている。これはあたかも恋心にそっくりだけど、全く別の用途がある。
いい匂いがして美味しそうな外見だけど、“消しゴム”である、みたいな。
 
そこで、本来の用途を一生懸命考える。
何か用途があるから、これは存在を許されているに違いない。
ただ、何十年も前の生々しい気持ちを再現させてあたくしの胸を締め付けるためではないはずだ。
そうだ、今度それとなく水を向けて聞いてみよう!
 
…てな感じで頭で理屈をこねくり回してカウンセリングに足を運んでみたわけですが…
全然、甘い話にはならず、あっという間に投げ飛ばされ、ひっくり返ったまま起き上がることもできず、涙目になって帰ってきたのです。
あたかも…って話ですけどね。
 
あ、いい年して恥ずかしいですが、涙目というところは本当です。
もちろん、意地悪された訳ではなく、あまりにも自分を分かってなくて泣けたのです。
(陽性転移の存在理由の探求は延期です!)
 
本件とは関係ないですけど、勝手に変な体操するな(前回のTREのこと)と注意されました(笑)。
お医者さん、カウンセラーにかかっている方は、TREする前にご相談なさってね。
現在の信頼関係をくれぐれも大切に。ごめんね先生、あたくしが悪かった。