心の旅のお作法

妙齢からの、己を知る道、心のお散歩(笑)

アレキシサイミヤ。

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急激に気温が下がったので調子が悪いです。
環境が変化しただけなのに身体は勝手に危険と判断し、心臓がバクバクします。
こら、いい加減にしろってくらい、この3日やるべきことがほとんどできていません。
このブログは多分、逃避行為です(笑)。
 
アレキシサイミヤという言葉がある。
「何だかカッコイイじゃん」とか思うけれど、「失感情症」という意味であって、そんなにいいものじゃない。
 
自分の感情を自覚できないのがアレキシサイミヤの特徴である。
「失感情」といっても自分の感情を正しく認識できなくなっただけで、感情が無くなった訳ではない。
感情というのは自分が何を欲しているのか避けたいのかといった情報を意識化させる大切なものだから、これが上手く働かないと身体が一生懸命肩代わりして訴える。
 
涙とかは比較的分かりやすい身体表現だ。
すごい昔に3年くらい付き合った人と別れてしまった時、何だかまだ信じられないやと、思っていたら涙が出て止まらなくなったことがあった。
その時、何と自分は「ありゃりゃ、お腹減ったのかな?」と思って、自分にご飯を食べさせようとしたのだった(笑)。
そうして、ご飯を食べさせても一向に涙が止まらないので、やっとこさ、ああこれは失恋の涙なのね、と自覚できたのだった。
あれなんかは、今思うとアレキシサイミヤだな〜。
 
自分の身体に対して、何で泣いているのか分からない赤ちゃんを抱いているかのようにオロオロしてしまうのがアレキシサイミヤ。
 
アレキシサイミヤは、自分の気持ちを聞かれているのに、他人事のように「さあ、どうでしょうか?」みたいな言い方をすることが多々ある。
カウンセリングの敵だ(笑)
それでは全く洞察が進まないので、カウンセラーはいろいろなタイプの質問を投げかけなくてはいけないだろう。
 
 
 
最近になって気がついたのだけど、カウンセリングを始めたばかりの時、あたくしは気持ちそっちのけで事実ばかりを並べ立てていたように思う。
カウンセラーに伝えたあたくしの希望は、事件によるトラウマを克服し不安障害を克服してまた働きたい、というとても前向きなものだったのだけど、事実の羅列でもって「こんな状況だからしんどい」と暗に表現していたんだろう。
 
しかし、口では
「働いたら楽しいと思っているのに怖いのは何ででしょう?」
みたいな言い方をしていたものだから、ある日、カウンセラーは言い放った。
 
「いや、あなた、働きたくないんでしょう?」
なぜ、そんな簡単なこと自覚できないの?とカウンセラーの顔は言っていた。
 
「いえ! そうじゃないです。働きたいのに働けないのです!」
「いいじゃん、何で働きたくないって考えちゃダメなの? 」
「いや、ダメですよ、働かなきゃ」
「疲れちゃったから休みたいんでしょう? いいじゃないですか」
「いや〜、言えませんよ」
「働きたくないって、言ってみなよ?」
そんな感じで、カウンセラーは「おらおら、働きたくないと認めろ」とばかりに執拗に言葉責めをしてくるのだった(笑)。
 
そして頑として受け入れないあたくしに
「自分が感じていることを、ちゃんと受け止めるところから始まるのに!」と、嘆いた。
 
「ああ、辞めたいな、とか思いながら働いている人なんてたくさんいるよ」
「え、そうなの?」
そう言われたら、確かにそうだよね。
 
昔は、もっと自分の気持ちがよく分かったし、どうすればいいかも知っていた。
若い頃、朝の通勤電車の中で「このまま会社行きたくないな〜」と感じたので、途中下車して「風邪気味なんで病院寄ります」って会社に電話して、美術館に寄り道したことがある。お昼過ぎに何食わぬ顔でキオスクで買ったマスクして「エヘン、遅くなりました」なんて言って…。
 
「何で行きたくないんだろう?」とか「どんなことがあっても会社には行くべし」とかは思わなかった。
もちろん周囲に迷惑かけない程度にだけど、ちゃんと自分の気持ちを優先させてテキトウすることが出来てたのになぁ。
それに、たまのおサボりよりも、ある日突然、出社できなくなる方が自分にとっても会社にとっても大迷惑だ。
 
 
 
「あなたは、何を感じても自由なんだよ?」とカウンセラーは言う。
そうか、あたくしにはその自由がなくなっちゃってるんだなぁ〜
 
背中の筋肉は常に硬直していて、心臓は時に激しくバクバクし、稀に右こめかみがズキズキ痛む。
言論の自由を奪われて、あたくしの体は何かを訴えてるんだわ。
 
トラウマ関連の書籍によれば、アレキシサイミヤはトラウマを負った人がよく陥る状態なのだとか。
自分が何を感じているのか分からなくなっちゃうので、自分に心地よい場を提供しにくくなってしまい、それがまたストレスを増やす…という悪循環を辿る。
 
「きっと今までの経験が生かせる、あなたらしくいられる場所がきっと見つかるよ」
だから焦らないで、とカウンセラーは慰めてくれた。