心の旅のお作法

妙齢からの、己を知る道、心のお散歩(笑)

怒りにまかせて出た自分の言葉にビックリした件。

f:id:spica-suzuhazu:20170915133726j:plain母が足首の手術をするというので、ふたたび実家に。
内視鏡の技術が進み、術後の傷跡を見ると1センチほどの縫合跡が6箇所ほどあるばかり。
手術の次の日から早速リハビリ。
若くイケメンの理学療法士さんにリードされて筋トレする母は楽しそうでもある 。母の件はひと安心。あとは、この先3ヶ月ほど一人暮らしになる父のこと。 
 
…ではあったのですが、意外に一人暮らしをエンジョイしていて楽しそう。
家事もソツなくこなしているので、大丈夫かなそろそろ帰ろうかしらと思っているところで、些細なことから大喧嘩。 
 
きっかけは、とてもつまらないこと。ホントにどうでもいいこと。 
父がキレた要点は「オレの話に意見するな!」であり、
あたくしがキレた要点は「人の意見を聞け!」であるから、
見事に噛み合って、怒りの炎はものすごく燃え上がった。 
 
そうして言い合いしているうちに、勢いであたくしの口から出た言葉。
「そういうところが、ばーちゃんにそっくりで、ホントにイヤ!」…である。 
 
言ってる自分がまずビックリしちゃった。何、何? この場にばーちゃん関係ないじゃん。何で出てくるの? 
 
 
 
しかし、あたくしがばーちゃんが嫌いなのは本当だ。父方の祖母が亡くなって7年ほど経つが、今でも本当に嫌い。 
 
祖母は自分のデリケートさを怒りで武装するような人だった。
一時期は同居していたけれど、祖母は自分の思い通りにならないと、恫喝し、号泣し、ハンストし、引き篭もりし、あらゆる手を使って不満を表現する人だった。
痴呆が入ると、その理不尽さはエスカレートした。
自宅で転倒して骨折したのがきっかけで入院生活となり、そのまま家に帰ることなく数年後、病院で亡くなった。
その間、プライドが高い祖母は、自分が転倒したことが許せず、なぜか家族と一切会話をしなくなった。
最後の怒りは、沈黙だったのだ。 
 
ひとたび機嫌をそこねるとやっかいな人、それがばーちゃんだったのだが、そのばーちゃんが、父の中にいる。
そして、自分の中にもいる。それがまた、たまらなく嫌。 
 
祖母、父、あたくしは骨格も似ている。
夜、トイレで起きて暗い洗面所に移った自分の顔にギョッとすることがある。
「ばーちゃんにそっくり!」 
 
あたくしは、自分の中にもあるばーちゃんの凶暴さに嫌悪し、怯えているのだ。自分の「恫喝怖い」も、恐らく、このばーちゃんが絡んでいる。   
 
 
 
…ということで、今回のカウンセリングでは、このばーちゃんへの嫌悪感を何とかしようと思ったのである。 
「先生、このばーちゃんへの嫌悪感、棒にして海に置いてきちゃいたいんですけど」と、単刀直入に言いますと、今日の先生は「じゃあ、それやりましょうか」とは即答しない。 
 
「自分の中の嫌な部分から目をそらしちゃダメですよ」と。
 
 もっとも、カウンセラーの先生の考えでは「怒りは、感じることも表現することも、ちっとも悪くない」のだ。
これは分からないでもないが、自身のものとして捉えるのは難しい。先日の喧嘩を蒸し返してあたくしが怒っている様子を見ても「イキイキとしていてイイ表情だね」と笑って見てる。 
 
「80歳すぎて喧嘩できるあなたのお父さんは、エネルギーに満ち溢れて、若々しいじゃないですか?」 
 
祖母の中にあったエネルギーは父の中にも流れてる。そして、あたくしの中にも流れている。それは、押さえつけたり、無視したりしない。
流れを止めない。ただ洗練させていけばいいのだと。 
 
洗練かぁ〜 む、難しい。しかし、このあたりが自分の不安神経症的な症状改善の鍵なのだろう。
 
 事件の後から、あたくしは怒りを感じる時、そのまま怒りを表現すれば何か良くないことが起きるような不安に駆られようになった。
そうして怒りを抑え込むのだけど、怒りは無くなったわけじゃないので、どこかで主張をしようとする。
なにしろ自分の中には、あの荒々しいばーちゃんの遺伝子がある。 
 
「怒っても何も起きないからさぁ、怒ってみればいいんだよ」と、先生は言う。
いや無理。今は怒りの制御ができそうにない。 
 
…そういうことで、怒りの表現の学び直しが今後のあたくしのミッションになりそうです。 
 
先生は家族エピソードが大好きみたいで、カウセリングでこうした話をすると、とても心地好さそうな表情をする。
まるで他人の思い出を自分の思い出として味わっているように。
そうだね。高齢の親とガチで口喧嘩できるのは、幸せなエピソードなのだと思う。 
 
そうして、非常に苦労して育ててくれた自分の母親を「嫌い」と言った娘の発言に、父は傷ついただろうか?などと、思い返してみて少し心が痛んだ。
 
「80歳にもなって本気になって怒るお父さん、面白くないですか?」と先生は言うのだが…全然面白くない! まだ、その域に達してない!