心の旅のお作法

妙齢からの、己を知る道、心のお散歩(笑)

30年経って「友達じゃなかったかも」と気付いた件。

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嫌いな友達がいる。嫌いなんだから友達じゃあないと思う。では、元友達ということか?
彼女とは、大学時代に知り合って30年以上、付かず離れずのお付き合いが続いてきた。それなりに縁があったのだろう。
 
マメな子で、向こうからコンサートや各種イベントなどで声を掛けてくれることが多かった。そこで共通の知人の噂話をしたり、お互いの近況を話したりする。要は気晴らしな適度に意味のない話。彼女の話題の定番は「職場の人はみんなアホで、自分は一生懸命頑張っているが、あまり認められない」だった。
 
いつも代わり映えのない話なのに、ここ10年くらい、彼女と会った後に何故か非常にモヤモヤするようになった。
彼女が以前と変わった、ということではない。今まで気付かないほど薄っすらとしていたものが、だんだん濃くなり、形を帯びてくるような感じだ
 
モヤモヤポイントは、いろいろあるのだけど、
「あれ? 何だか凄いこと聞いたような?」
と、自宅に帰ってからも思い出されるような発言が多くなった。
その時は、自分がメンタル的にパワー不足なので、瞬発的な返しができてない? 会話が不完全燃焼してる? とモヤモヤの理由を自分に求めていた。
 
 
 
そうして、昨年の2月に久々に彼女に会った時、これまでのモヤモヤが解けるきっかけとなる出来事があった。
彼女は長年の苦労が報われて、良い会社に転職が決まっていた。だからその日は、会社の不満を言う必要なんてなかった。
 
だがしかし、クライエントはカウンセラーが気持ちをちゃんと受け止めてくれてないと感じると、同じ様な話を何度もし、誇張し、イラつきを見せる…。あたくしは彼女のカウンセラーでもなんでもないんだけどさ。
 
だから、そこで語られることも、やっぱり不満なのだ。もう辞めちゃう会社の不満を言い、ネタが尽きたら学生時代の交友関係の話になり、そしてビックリするようなことを言い出した。
 
「あんたは学生時代、随分鼻持ちならない態度だったわね。刺そうかと思ってたよ」
「◯◯さんは親のコネで就職できたから苦労知らずで気楽な暮らしだよね」
「●●さん学生時代は何であんなに自信満々だったのかしら? いまじゃ大したことないのに!」
 
あたくしを含め、当時の仲良しグループのメンバーを撫で斬りし始めたのだった。
 
その間も彼女は学生時代の友人と話している楽しそうな表情を崩さない。
竹中直人の芸で「笑いながら怒る人」というのがあるが、まさにあんな感じ。
目の前で視覚的情報と音声情報が激しく食い違う状況が起きると、実は怖い。
元気だったら笑うところかもしれないが、凍ってしまったと思う。
 
そうして、締めくくりに彼女は言った。
 
学生時代の自分は器量も悪くてモテなかった。
でも、今は友達もボーイフレンドもたくさんいて楽しい。
今が一番幸せ!
 
彼女が自身のことを「器量が悪くてモテなかった」と評価していることを含めて、「そんな風に思っていたんだ!」とあたくしはその後2週間ぐらい体調を崩した。
会って文句言うくらいなら誘わなきゃいいのに! とか
あたくしと会うことで彼女のマイナス思考が刺激されるのだったら今後会わない方がいいかも と考えた。
それでもまだ、彼女の真意は量りかねていたのだ。
 
 
でもね〜物凄く思考の速度が遅くて、すごく時間がかかってしまったけど、最近、やっと分かった。
相手の反応を全て自分の所為と思うから目が濁るのであって、そうじゃないんだよね。
 
ちゃんと彼女は正直に全てを話している。
 
20代から自分には自信がなくて友人に嫉妬心を感じていた。
50代手前になって人に認められたら、
やっといろんなことに挑戦できるくらいの自信と勇気が出た。
 
ということなんだろう。
そして彼女にずっと感じていた薄っすらとした攻撃性は、あたくしに向けられていたのではなく、友人に遅れをとっていると感じる歯がゆい自分に向けていたんだな、と気が付いた。節目節目で彼女と会う時、彼女はあたくしと会話してたのではなく、ずっと自分自身と対話してたんだなあ、と。
 
プレゼントやお手紙がマメで、音楽や映画や文学をたくさん共有した彼女となぜ心から打ち解けられなかったのか、もっと共通点が薄く淡白で雑な友人と過ごした方が気楽だったのかが、何となく、しかし良く解ったのだった。
 
もし、本物の友情が築けていたら「そんな不快なこと言うな!」とちゃんと喧嘩できたかもしれないと思うと残念だ。
 
 
…何で今回こんな話になったかというと、先日、学生時代の別の友達と会い、偶然その人の話が出てフト思い出したから。
 
「あの人のオシャレ感満載のFacebook、何なんでしょう?」
「自分語りとかリア充アピールは自慢?」
「要するに寂しがり屋ってこと?」
 
そうね、流石に心が健康な人は判断が早い。
嫌なものを即座に嫌と言えるのは健康な証拠です!(笑)
 
あたくしとしては
「いや、わたしももう会わないと思うけど…」と断った上で、
「あれには理由があるんだからさ、見ないようにしちゃえばいいんだよ。見ないようにする設定知ってる?」と何となく彼女をフォローしちゃったのだった。
 
自分にとっては、若い頃の思い出は、未熟ゆえの至らなさや失敗も含めてみんな愛おしい。だから、壊して欲しくないというのが正直なところ。