心の旅のお作法

妙齢からの、己を知る道、心のお散歩(笑)

頑張っているのに変わらない。何もしなくても変わる。

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2〜3年位前になるのかな? 一時期、パニック症状や鬱を自力で解決しようと、かなり認知行動療法の本を読み漁っていたことがあります。
 
最も近年のあたくしの診断名は全般性不安障害 (GAD)」で、文字通り、全てが!何となくモヤっと怖いという状態。(似たのに「社会不安障害( SAD)」というのがあって、こっちは人前で喋ったり、意見を述べることに異常に緊張する症状が主)外が怖い訳ではなく、家に居ても布団の中でも何となく怖い。酷くなると、生きていることが怖い。動悸がして、息苦しくなる。
ストレスによって、脳の機能が故障して、暴走しちゃってるんだな〜。
勝手に「恐怖心」や「嫌な予感」が膨らみ、過剰防衛で神経を酷使。結果、ささいなことでイライラしたり、異常に細かいところが気になったり、予想外のことが起こるのが極端に怖くなってしまう。
 
医師は当然、薬物中心の治療を勧めてくるけど、パニックを10年も患ってしまうと、薬物への期待感は薄い。そういう訳で、まずは比較的費用的にも負担の少ない「読書療法」をしてみたわけ。
 
自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法』メラニー・フェネル著 とかね
あとは、
いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法』デビッド・D・バーンズ著
この本は、かなり分厚い本なんだけど、懲りずに、
不安もパニックも、さようなら 不安障害の認知行動療法:薬を使うことなくあなたの人生を変化させるために』デビッド・D・バーンズ著
も、購入して、ワークをかなりガシガシやった。
 
どれも、名著であり、巷の評判も良く、読むと「なるほど」の連続で、自分の弱点、病気を維持している考え方が良く分かるような気がする。
例えば自分は、「結論を急ぎすぎる」「完璧であることを自分に求める」「他人に優しく自分に厳しいダブルスタンダードを使っている」「『白か黒か』的思考におちいりがち」な傾向があるんだな〜とか分かる。
で、それを修正するためのワークもある。一生懸命やる。
 
だがしかし、なかなか「嫌な気分よさようなら!」ってならないんだなっ。
 
当然、「不安もパニックも、さようなら!」とも、ならない。
 
本には、「たゆまず努力すれば克服できる!」といった根性論が書いてある。根性論ではなく、単に我々を励まし、慰めてくれているのかもしれないけど…。
「再燃しかけたら、何度でも自分の認知の歪みを発見して、(自分に)反論しましょう」と書いてある。
 
う〜ん。理屈っぽい自分には、認知行動療法はピッタリだと思ったのだけど、なんだかシックリこない。思考に行動が伴わないような違和感…。
 
で、「毒を喰わば皿まで」(←?)とばかりに、「論理療法」にも手をつけてみた。
例えば性格は変えられない、それでも人生は変えられるアルバート・エリス著 とかね。
どんなことがあっても自分をみじめにしないためには―論理療法のすすめアルバート・エリス著 も、読んだ。
実は、デビッド・D・バーンズの認知療法より、アルバート・エリスの論理療法の方が、その説得方法というか論法が自分の気持ちにピッタリした。
(双方は認知行動療法とひとくくりにされることが多いのだけど、考え方に若干の違いがある)
この2冊は、理屈っぽい人には非常に面白く読めると思う。実際私もとても興味深く読んだ。
 
だけど、症状の軽減にはまったく至らないんだな。
 
結局のところ、無意識の部分に触れない療法は、自分には合わないらしい。自分で自分を説得とか、論駁とか、できないもん!
意識だけで物事を変えようとか、いわゆる左脳的な思考だけで問題を乗り越えるというのは、あたくしダメらしい。
 
Amazon認知行動療法の本のレビューで「すごく気分がよくなりました!」とか書いている人、スゴイよ!
そういう人は、意識主導で自分の行動を変える能力がものすごく高いと思います。それは一種の才能です。尊敬です。
 
そこで、あたくしが思考と行動を変えようとしておすがりしたのが無意識様のお力です。
自分の思考の力に限界を見て、諦めの境地、一種の悟りのようなものが訪れたのでしょう。
そうして、自分の思考の歪みの頑固さ、不安を強固に回避しようとする自我に、白旗を上げたのです。
 
いや実は、とどめにというか懲りずに「スキーマ療法」も試してみたんだよね。
でも結局、これも自分には全くダメでした。いや、療法自体は悪くないです。今までの様々な療法を幕内弁当的に合わせたような感じで、幼少期の心の傷の癒し、みたいな要素もあるので、「スキーマ療法は、認知行動療法を発展させた療法」という説明もよく分かります。そういうわけで幕内弁当的なので全く新しくないですけれどね(笑)。しかも「一生かけて取り組みましょう」みたいなことが書いてあって、ワークブックも2冊にわたっているので、もう人生の後半に入っているあたくしは「それは無理」と思いました。
 
とにかく、あたくしは「自分の意識を理詰めで説得する」とか「地道に文章を書いていくワーク」の類は全然だめでした!
頭で分かっていても止められないタイプ!
読書により認知行動療法の行脚は、星和書店(数々の心理療法の本を出版)さんにかなりのお布施を払っただけで終了(笑)。
 
そうして、もう、考えすぎて何だか頭フラフラだよ…ってなって挑んだヴィパッサナー瞑想が、なんだかジワーッと…。
ジワーッと効いてくるもんだから、人生って面白いですね。
 
「北風と太陽」の話を思い出しました…。
 
自らに左脳的説得を試みて失敗した方は、右脳からのアプローチも試してみてください。
自分は理論派な人間だと思い込んでいたら、案外、イイ感性をお持ちだったりするんですから!

 

*敢えてオススメするとしたら、以下の2冊あたりなど。 

自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法

自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法

 
性格は変えられない、それでも人生は変えられる―エリス博士のセルフ・セラピー

性格は変えられない、それでも人生は変えられる―エリス博士のセルフ・セラピー

 
※エリス先生のは、古本になっちゃうけど(か、図書館で)。