心の旅のお作法

妙齢からの、己を知る道、心のお散歩(笑)

カウンセリングで怒りが止まらなくなっちゃう時。

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心の平安を求めて足を運んだカウンセリング中、正直、怒りが沸き起こり、止まらなくなる時があります。

怒ってスッキリするのならそれもアリ、なのでしょうけど、本当は怒りたくなかったりするので、モヤモヤとして帰途につくことがありました。
何が起こっていたのでしょう? いろいろ自分経験を振り返り、当時の原因を探ってみました。
 

怒りの感情を受け止めてもらえてない。

過去に怒りを感じた体験を話している時、カウンセラーからの共感がもらえないと、あら不思議、怒りがさらに募ります。うまく共感してもらえないと、怒りの炎は鎮火されないのです。
自分の怒りに対して、カウンセラーからの共感が感じられないと、クライエントは「私の話、通じてない?」とある程度「盛る」と申しますか、怒りのボリュームをアップさせてみるのです。無意識にです。
 
ですので、カウンセラーとしては、当然ちゃんと感情を受け止めてなくてはならないのですが、分かっているだけでは出来ないんですね〜。それなりの訓練が必要です。
何しろ、普通の人だったら、レアな怒りの感情には、とっさに嫌悪感を感じたり、何かしら心の動揺を感じてしまうもの。そのまま受け止めること自体がとても難しいのです。動揺を隠そうと「怒りの感情に対して冷静に対処しなきゃ」と考えてしまうと、クライアントの心に寄り添うことに集中できなくなってしまうのです。そして、その不安定な状態は、なんとなくクライアントに伝わってしまうのです。
 
自分の中の黒い感情を赤の他人に正直に言うのは、とても勇気のいることです。
一度でも自分の感情を否定されようものなら、その人に本音を話すのはとても難しくなります。
カウンセラーを志す人は、その勇気に報いるような技術を習得して欲しいものです。
最初から、小さなことを大袈裟に怒るような人がいますが、その人は、これまでの人生から多少盛らないと共感してもらえないと思い込んでいるのかもしれません。
 
 

お門違いな意見で心が乱れる

実際にカウンセリングの途中で夫との関係を話している時の先生のコメント(そう、あたくしは既婚者です)。
「旦那さんは、ADHDかもね」
考えてもいなかったことなので、ビックリしちゃいました。
そして、「そおんなワケねえだろお〜」と内心に強い怒りが…先生の前では引っ込めましたけど。
いやいや、臨床心理士だからって、私からの聞き取りだけで、会ってもいない人の診断しないでよ、と。
悪気はないのは分かるのです。「問題は、あなたのせいではないよ」と先生むしろ私を励まそうとしているのは分かるのですが、しかし、その先生は、リラックス法の指導はお上手だったのですが、フリートークとなるとその辺のオジさんオバさんレベルだったのです(笑)。
 
その他、「迷っているならやっちゃいなよ」←鬱状態で決められないのです。
「ダメだったら、また頑張ればいいよ」←極度に失敗が怖いのです。
「そんな会社辞めちゃえよ」←え、そんなこと言ってないよ!
こっちの不安に、超楽観的な態度で迫られると、自分なんかは腹が立つタイプ。
当時はよくわからなかったけど、傾聴をかじった今なら、まずは、迷っている気持ち、不安な気持ちに寄り添って欲しかったなあ。
40分7000円の費用で「チャレンジしろ」というご指導だと、萎えてしまうのです…。もちろん、心が健康な時なら、背中を押してくれる意見もウェルカムかもしれないのですが…。
あたくしが比較的症状が安定していたので、そんな風に言われたのかもしれません。でも、「何で行動に移さないの?」と言われてしまうと、何だか責められているようで、全くもって辛くなってしまいます。
「試してみる」「ダメなら辞める」「またチャレンジする」…健康な人ならむしろ直感的にできる、こんな簡単なことも、心がヘコタレている時には、とっても精神力を必要とするのです。
 

カウンセラーに陰性転移が起きている。

転移とは、クライアントが親子関係など、他の人間関係をカウンセラーとの関係において再現してしまう現象です(フロイトが発見しました)。プラスの感情を持つのを陽性転移、マイナスの感情を持つのを陰性転移といいます。
「何だかこの先生の前では素直になれないわ」「この人の言うことイチイチ腹たつわ〜」という時、そのカウンセラー自体を見ているのではなく、その陰に父親や母親との関係を重ね合わせている、こともあるのです。
 
この現象、結構簡単に起こります。カウンセラーが転移の現象を利用して治療することすらあります。
なので、カウンセラーに怒りを感じる時、前述のように、カウンセラーの技術不足ではなく実は「こっちの事情」だったりするわけです。
 
実は私自身、女性のカウンセラーが苦手です。どうしても母親との関係が再現されてしまうからです。私の母親は共感能力があまり高くなかったので、共感技術が下手なカウンセラーにはムチャクチャ腹が立ちました。この怒りは、未熟なカウンセラーへの怒りでもあるのですが、根本は、自分に対してものすごく淡白だった母親に対して怒りを再燃させているのです。
 
 
だからして、怒りは着目するべき感情です。「なぜ、怒っちゃってるのだろう、ワタシ…」と深く洞察する時、自分をバージョンアップさせるヒントが隠されているのです。怒りは「誰かがオレ様を怒らせる」体で沸き起こりますが、実は、冷静に考えれば、自分の内側の問題、ということが多いのです。
 
怒るなら、冷静に怒りましょう。そして健やかになりましょう。